とやま保険医新聞 2001.12.15 号 11月20日、「北日本新聞」に『抵抗排し「三方一両損」貫け』と題する社説が掲載されました。「三方」の解釈が従来と違う。患者・医療機関・国民、としていますが、そのココロは、保険料を払う現役世代、医療費をたくさん使う老人、医療費を懐に入れる医師─これらを「三方」として対置しているようです。「医療改革説明会」で挨拶するので、そのネタに使おう、と思って「三方一両損」の噺の筋(*1)を調べていたら、協会事務局からとんでもない情報が飛び込んできました。 なんと、2日前の「長崎新聞」の社説にそっくりだ、とのこと。出だしは一言一句ちがいません。テニオハがわずかに違うだけの部分がほとんど。これじゃ「盗作」じゃないか……。 その後、事務局の調べでカラクリが判明しました。共同通信社から加盟各社に配信された原稿を若干手直しして利用しているとのこと。静岡・山梨など他にも同じ原稿を使った地方紙がある。これには「盗作の疑い」以上に愕然としました。 以前、北日本新聞社の論説委員と懇談する機会があり、少ないスタッフで森羅万象のあれこれを社説に書かねばならない苦労を思い、畏敬の念と同情の念を抱いたものです。ところが、こんな安直な方法で社説が掲げられていたとは。日本全国、検証抜きで右に習えのプロパガンダが繰り広げられているのです。 もともと小泉首相の言った「三方一両損」は、保険者・患者・医療機関を指していました。いずれにしても、国の支出を減らそう、というのが「医療改革」のねらいですから、共同通信発地方紙社説の新「三方」との違いは、枝葉末節とも言えます。(*2) 過去20年のあいだに、医療費に占める国庫負担は30%から24%に減少し、家計負担は40%から45%に増えました。経営者団体や健保連が声を荒げる事業主負担は24%から23%に減少しています。医療費は増えても医療機関の経営状態は悪化しています。「三方一両損」なるキャッチフレーズの目指すところは、この流れのなかに見て取れます。 ダメを押すなら、「総合規制改革会議」医療ワーキンググループ主査・鈴木良夫氏の弁がいいでしょう。氏の考えでは、日本の医療費は先進諸国に比べて低すぎ、増やしていくことは必要だし好ましいことだが、それは公的医療ではなく私費医療でまかなわれるべきであって、営利企業に開放すれば新しい産業分野になる…。(*3) 日本の医療制度は効率がよい、と世界保健機構(WHO)も認めているところです。日本と並んで医療費の少ないイギリスでは、05年度までに医療費を1・5倍に増やし、欧州連合(EU)の平均水準に引き上げる計画だといいます。誰が損するかを云々する前に、考えるべきことがあるはずです。 「三方一両損」は思考停止の呪文です。根本にかえって、公的医療保障を縮小する正当な理由(もしもあるなら)を問うことがジャーナリストの務めではないですか? ああ情けない。
(*2) 小泉内閣メルマガ23号(2001.11.22)で、坂口厚生労働大臣は「税・保険料・自己負担」を対置している。 (*3)日本医事新報 2001.8.18号 インタビュー記事。鈴木良夫氏は、S34年東大法卒、旭化成工業取締役を経て旭リサーチセンター社長。行政改革委員会・規制緩和委員会・規制改革委員会・総合規制改革会議の委員を歴任。 その後、共同通信社論説委員と保団連とで、この件について話し合いをもった。共同通信からは「論説資料」という名目で社説用の原稿が配信されている。それに手を加えて利用することについては各紙の裁量と責任に任せられている。共同通信社には現場記者の兼務も合わせて30人ほどの論説スタッフがいる。書かれた原稿を相互チェックする態勢はないようだ。 |
とやま保険医新聞 2001.12.15 号 長年使ってきた「アスカ」という名の国産データベースソフトがウィンドウズの最新版では動かないことが判明しました。住所録・経理・資料整理などに重宝してきました。遊び半分で「マスコミ語字典」や「司馬遼太郎用語辞典」を作ってみて、あらためてその特徴に気づかされたりもしました。 いたずらに多くの機能を盛り込まないかわりに、パソコンに負荷をかけず軽快に動きます。それでもデータベースの基本は守られていて、いくつかのデータ群を関連付けて処理することができますし、マクロ言語で自動処理ができます。 DOSの時代に使い始め、1回数千円の有償バージョンアップには毎回応じて、今日まで使い続けてきました。 ところが、ウィンドウズの最新版に対応しないにもかかわらず、バージョンアップの案内が来ません。インターネットで会社のホームページを探してみましたが、見つかりません。製品のパッケージに書かれたところへ電話してみたら、「この番号は現在使われておりません……」 会社がなくなってしまったのです。倒産したのか解散したのか分かりません。いずれにしても、ITの市場競争から脱落し、ユーザーを置き去りにして、退場してしまいました。個人むけのデータベースソフトとしては、マイクロソフト社の「アクセス」がシェアを広げています。 規制なき市場競争によって、優れた製品、優れた会社が生き残り、消費者も企業もハッピーになる……なんて嘘っぱちです。競争に勝つための資金と販売網を持つ大企業が、超大企業になるには都合のいい話です。ユーザーにとっては、屋台のラーメンを食べたい、と思っているのに、怪しげな飲み屋へ強引に引っ張りこまれるようなものです。 本棚に「アクセス」の解説書を並べてため息をついています。 |
12月9日 医療改悪阻止・全国役員代表学習決起集会 千数百年さかのぼって、十七条憲法は「和をもって貴しとなす」から始まっています。いま日本は「差をもって貴しとなす」社会を目指そうとしています。山家先生(*1)の講演、室生副会長の基調報告にあるように、新自由主義・市場原理主義は格差の拡大を「良し」とします。「和」から「差」への大転換です。未曾有の社会保障の危機に際し、富山協会は、ありとあらゆる力を注ぎ込む決意で抵抗運動に立ち上がりました。 「医療改革出前学習会」を企画し、そのための大型パネルを作成しました。本日、会場に展示し、昼休みにスライドを供覧させていただきました。手前味噌になりますが、私たちが胸を張って「抵抗勢力」たらんとする根拠が、要領よく、体裁よくまとめられています。全国で活用していただくために、パネルのほかスライドやパワーポイントデータとして提供しています。 「出前学習会」に先立って、医療関係者に理解を深めていただこうと、「医療改革説明会」を県下4会場で6回実施しました。参加者は359名。「よくわかった。どういう行動をおこせばいいのか」、「医療人として自信をとりもどした」などの感想が寄せられています。 「出前学習会」は、一般市民向け、15人以上の集まりで、1時間〜1時間半の時間と会場を確保することを条件に募集しました。いままでにない垢抜けしたポスターも制作しました。申込みが20件、本日までに10件こなし、通算して400人近い参加がありました。年内に残り10件を実施します。 高齢者団体・女性団体からお寺の坊さんの集まりまで、多種多様な分野から申込みがありました。与党の一角を占める某政党と深い関係にある宗教団体も含まれています。年明けに開催を検討している団体も多数あると聞いています。事務局員が手分けして、東奔西走しています。本日も富山に残った若手事務局スタッフが「出前」しています。この活動のなかで、事務局はかつてなく団結を強め、その能力を高めました。 説明会・出前学習会と前後して、富山協会は二つの調査を行いました。ひとつは「6ヶ月超入院患者調査」、もうひとつは「特養ホーム等入所待ち調査」です。 「入院患者調査」は、県下の民間病院の70%から回答があり、きわめて信頼性の高い調査結果が得られました。県内で約1800人が病院に居られなくなることが予測されるという結果は、マスコミを始め、国会・県議会でもとりあげられています。 さらに、病院から追い出された患者の行き先があるのかないのか、を明らかにするため、「入所待ち調査」を行いました。結果は背筋の寒くなるものでした。定員に匹敵する入所待ちがあるところへ、退院患者が加わります。老人の難民化は必至です。なお、この調査の最中に、県当局から「某団体の実施している調査には協力する必要はない」との文書が各施設あてに出されました。にもかかわらず、特養ホームで82%、老健施設で78%の回答が寄せられました。小泉内閣の支持率を上回る数字です。(*2) さきの「入院患者調査」とあわせて、回答率の高さは、協会への信頼の高さの現われでもあると自負しています。 このように獅子奮迅の活動をしているさなか、地元の地方紙に「抵抗排し『三方一両損』貫け」と題する社説が掲載されました。ところが、テニオハ以外はまったく同じといっていい社説が、長崎・静岡・山梨などの地方紙にも掲載されていることが判明しました。この件については鮫島会長の挨拶でも触れられましたが、第一発見者は富山協会です。 共同通信社が加盟各社に配信した原稿をもとに、社説を掲載しているのです。こんなバカなことが、じつは「業界の常識」だということを知らされました。表題は「『三方一両損』貫け」とありますが、これでは小泉首相のキャッチフレーズに踊らされて「三方一両損」をばらまいているだけです。 富山協会では新聞社に申し入れ、社説のあり方やジャーナリズムのあり方について論説委員と懇談しました。共同通信の原稿を利用するのは「社の経営方針」であり「編集方針」である、とのことです。いくつかある配信原稿のなかから、自らの主張として適切なものを選択しているのであり、掲載した内容については責任を負っているのだから問題ない、という論理です。(*3) 数少ないスタッフで社説のスペースを埋めなければならないという苦しい事情はわからないではありませんが、かといって、こんな形で世論形成がなされていくことを容認することはできません。おおもとの共同通信社に対しても、アプローチが必要です。各地の協会におかれても地元マスコミを監視していただきたいと思います。 富山協会は、かつてないほど多忙な日々を送っていますが、いっぽう、かつてないほど手ごたえを感じています。
(*2)某全国紙が富山協会の調査資料を記事にしようとして準備していた。ところが、細かな数字の扱い方に難色を示し、中止を伝えてきた。厚生労働省の横槍であろうと推測している。 (*3)論説委員との懇談の日以降、同社のHPに、おそらく「共同通信発」と見られる社説が、掲載されなくなった。そのため数日前の社説が掲載されていることもある。 |
とやま保険医新聞 2001.11.05号
「聖域なき構造改革」は、真っ先に社会保障の削減にホコ先を向けています。 かつて、日本は西欧先進国型の国になるかと思われた時期がありました。73年、老人の医療費無料が法制化され、政府は「福祉元年」を宣言しました。それもつかの間、臨調(第二次臨時行政調査会81年〜83年)、行革(第一次臨時行政改革推進審議会83年〜86年)によって、福祉は停滞から後退へと流れが変わりました。 「改革」が叫ばれるたびに福祉が後退していきます。 日本の公共投資は西欧先進国の約3倍、いっぽうで社会保障給付費は半分。この発展途上国型ともいえる日本の財政構造の「改革」こそが必要なのではないか─という考えはよほど荒唐無稽なのでしょうか。中味を知らされないまま改革万歳の歓声が満ち溢れています。 偶然、ひとつの雑誌記事とその元になった論文の存在を知りました。 「週刊東洋経済」8月25日号掲載「『財政維新』で景気回復と構造改革は両立できる」、および住友生命総合研究所のまとめた「財政維新で国民のコンフィデンス回復を」です。前者の副題は「公共事業偏重から社会保障重視へ」となっています。 現在の日本を覆う閉塞状況を打開するキーワードは「コンフィデンス(確信・信頼)」であり、将来への不安が消費不況を招いている、と説き起こします。社会保障の基礎部分(ナショナルミニマム)を公費でまかなうことが可能かどうか試算を行い、多すぎる公共投資を削減すれば可能だ、としています。 基礎年金、老人医療費、介護保険の「保険料」で賄われている部分は合計16兆円であり、これは公共投資の約3分の1に相当します。公共投資は、これだけ削減したとしても、まだ欧米にくらべてきわめて高い水準にあります。 また、こうすることで国民の可処分所得が増加し、かつ将来への不安が解消されることによって消費性向が高まり、景気回復にも効果がある、と結論づけています。 国の政策は、GDPの2割を占める「輸出」の競争力を高めるために、GDPの6割を占める「消費」を犠牲にしています。「診療側、支払い側、国民の三者の痛み分けが改革の前提」などと、「痛みの分配」ばかりに目が奪われ、社会保障の何たるかは問われません。どこか変な議論が横行しています。 前記の論文では、公共事業偏重から社会保障重視へと発想を転換すべきであり、これは「コロンブスの卵」だと自画自賛しています。 ナショナルミニマムの範囲についての考え方や、消費税を社会保障目的税化することなど、かならずしも同意できないところもあります。それにしても、どちらかというと為政者寄りと思われている財界系のシンクタンクが、このようなレポートをものしているとは驚きです。 ご存知のとおり、私たちは「公共投資から社会保障へ」とかねてより主張してきました。残念ながら広く知られてはいないようです。もっと自信をもって訴えていかなければなりません。 |
とやま保険医新聞 2001.11.05号
自他ともに認める悪筆でして、「ミミズが這っているのだかカモメが飛んでいるのだかわからない」という形容がぴったり、まるで自分のためにあつらえた表現みたいです。 学生時代、悪筆をごまかすために中古の英文タイプを買い求めました。しかし、何から何まで英語で表現する能力などあろうはずはなく、ホコリをかぶる運命でした。 開業したとき、新品の和文タイプを発注しました。活字盤から1文字づつ探して、ガシャンと打つ、たいへん手間のかかるしろものでした。もちろん活字の大きさ・書体はひとつだけ。力の加減で印字むらはでますし、打ち間違えたときは修正が大変でした。 やがて「マイコン」登場。当時はまだ「パソコン」とは言いませんでした。アルファベットとカタカナだけが表示されました。いくらなんでも全部カタカナでは電報みたいで読みにくい。苦労してひらかなを表示・印字させるプログラムを作り、悦に入っているころには、「マイコン」が「パソコン」になり、漢字が表示できるようになりました。 初期の試作品のワープロソフトを業者から提供してもらい、使ってみました。和文タイプに近い操作感覚で、1文字づつ「読み」を入力すると漢字のリストが現われ、そこから該当するものを選択します。それでも和文タイプよりずっと入力スピードが速く、感激しました。 やがてワープロソフトがいろんなソフト会社から発売され、百花繚乱の感を呈する時期がありました。それぞれに特徴があって、選択に困るほどでした。その中から勝ち残ったのが「一太郎」と「ワード」です。前者は、優れた着想と技術によって、後者は最後発ながらマイクロソフトの資力とメンツによって…。いまは「ワード」が事実上のスタンダードになりつつあります。 ともあれ、パソコンなしでは文章を書くことができなくなりました。私の悪筆は、ますます進行しています。 |
とやま保険医新聞 2001.10.05号
わが家の書棚に、20冊のスクラップブックが並んでいます。おもに新聞の切り抜きをコピーして日付順に綴ってあります。ときに雑誌や届出書類のコピーも混じります。91年から10年間、よくぞこまめに続けたものです。われながら感心します。 綴っただけでは、いざ「あの記事」と思ったときに、探すのが容易ではありません。そのために、パソコンのデータベースで索引を作ってあります。これがミソ、これがなければ使い物になりません。年月日、記事のタイトル、キーワード、出典その他。以上がデータベースに記録する項目です。 たとえば、95年に地方紙で「歯科」について報道された記事、という条件で検索すると、4件のスクラップがあることが瞬時に分かります。なかなか重宝しています。 ところが、最近はインターネットで調べた情報などが多くなってきて、紙のスクラップブックでは間に合わなくなってきました。紙にプリントして綴るのも一法ですが、手間がかかるのと、書棚のスペースが残り少ないのも気がかりです。 1万円台まで安くなった「スキャナー」を買い求めました。切り抜きを画像データとしてコンピュータに取り込んで整理しよう、という魂胆です。いま試行錯誤中です。スクラップの画像データとインターネットで拾ってきた何種類かの形式のデータ、これらを統合的にデータとして扱う。そんなソフトを探してみたら、なんとフリーソフトがいちばん優れていました。 フリーソフトは作者がなかば趣味で作って無償で配布しています。市販ソフトの鼻を明かしてやりたい、と意気込む作者もいます。かく言う私自身もフリーソフト作者でした(過去形)。気がかりなことがあります。それは作者の気まぐれで突然サポートを打ち切ることがある、ということです。自分がそうでしたので・・・ |
とやま保険医新聞2001.8.25号
総合規制改革会議(首相の諮問機関)が「レセプトの電子化」を提唱しています。これも「構造改革」の一環なのでしょう。が、もっぱらレセプト審査の効率化を狙ったもののようです。 「医療費を総額抑制するのは当然だ」と社説を掲げ、このところ医師バッシングに熱心な某M新聞は、この件でもさすがの論陣を張っています。すなわち、レセプトの電子化が進まないのは、もっぱら医師らが不正を隠すために抵抗しているからだそうです。定見のない某Y新聞によれば、お山の大将が診療内容を比較されるのを嫌がっているのだそうです。 大新聞とは思えない低次元の言いがかりです。 介護保険で最も潤ったのはコンピュータ業界だ─というのは「介護保険を問いなおす」の著者・伊藤周平氏です。介護保険では、レセプトは原則として電送、紙のレセプトは例外。厚生省(当時)は無償で大量のコンピュータを介護保険施設に提供しました。介護保険請求や介護計画作成など、ソフト会社が飛びつきました。コンピュータ的、画一的な処理にもっとも不慣れな職種の人々が、IT産業のカモにされました。 福祉に夢を抱いて仕事を選び、ケアマネージャーの資格もとり、さあこれからは社会的にも認められた仕事ができる、と意気込んでいた人が、毎日コンピュータに向かってキーボードを叩く。夢破れて転職─という話があちこちにあります。 電子化、IT化よりも、事務処理を簡素化し、現場の裁量を拡大するほうが大切なのじゃないですか? 仕事をやたら複雑にしておいてIT化では本末転倒です。 大手企業がレセプト審査ソフトへの参入を表明していることなどを考えあわせると、「レセプト電子化」云々は、医療のため患者のため、ではなくて、IT産業のためではないか、と疑いたくなります。 |
(とやま保険医新聞 2001.7.25号) 我が家の3人の子供たちは、それぞれにメールアドレスをもっています。今年、初孫が生まれて「じいちゃん」になりました。孫の写真がさかんにメールで送られてきます。 パソコンのアンケートで、どのソフトをいちばん頻繁に使いますか、という設問がよくあります。私の場合、だんぜん「メールソフト」です。 起床後、朝飯前にパソコンのスイッチを入れます。最初にすることが着信メールのチェック。外出するか、雷が近づいてきたとき以外、就寝直前までパソコンの電源は入れたままです。その間、あき時間があれば、きまってメールをチェックします。パソコンで他の作業をしていても、ときどきチェックします。 インターネットメールには、個人対個人のやりとりのほかに、「メーリングリスト」と「メールマガジン」があります。 「メーリングリスト」は、特定のテーマに関心のあるグループが運営するものです。参加登録し、指定のアドレスにメールを出すと、それがメンバー全員に配布されます。同じことに関心をもつ人々との情報交換に役立つ仕組みです。医療関係のメーリングリストも多数あります。参加条件を厳しくしているものや、最初から非公開のものもあります。 「メールマガジン」(略称「メルマガ」)も登録が必要ですが、こちらから情報の発信はできません。一方的に送られてきます。「小泉内閣メールマガジン」は登録者が200万人を超え、「世界一」を誇っています。医療関係では出版社系の無料メルマガがあります。保団連の「メールニュース」もメルマガです。 あれやこれやで、毎日届くメールが多く、全部に目をとおすのが難しくなってきました。人間のかわりに重要度のランキングをつけてくれるソフトがあるといいのですがねぇ。 |
(とやま保険医新聞 2001.6.25号) パソコン減税のあるうちに新調しよう、と思い立ったのはぎりぎりの昨年末でした。マイコンと呼ばれていた時代からの因縁で、ずっとN社製を使っていました。しかし、今はメーカーの差がほとんどなくなり、要は、どのような部品の組み合わせか、で性能が決まります。 かつて、日本製のパソコンは高価だけれども品質が高い、と広く信じられていました。たしかにトラブルは少なく安心感がありました。近頃は違います。有名メーカーのパソコンでも、中身はほとんど外国製です。あきらかに品質が下がっています。初期不良が多くなり、壊れやすくなりました。キーボードなんかは、まるでオモチャみたいです。 パソコンは世代交代が早いので、最新の仕様でできるだけ安くあげたい。となると、@パーツを買い集めて自作する、Aキットを買って組み立てる、B部品を指定して組み立て済み(BTO=build to order)を買う、Cパソコンショップが万人向けに組み上げたもの(ショップブランド)を買う、以上4つの選択肢になります。 協会事務局は2番目のキットで組み立てる方法を選んだのですが、私は、組み立てが面倒だったので、3番目のBTOマシンにしました。4〜5千円の差です。手持ちのディスプレイやハードディスクなどは流用し、さしあたって急を要さないものは、いずれ買い足すことにしました。 その結果、10万円以下になったので、パソコン減税の恩恵を受けるにいたりませんでした。もうひとつ、すこし割高ですが手間のかからないD有名メーカーの直販(あるていど仕様の変更ができる)という手もあります。 これってデフレを助長することになるのかな…? |
(とやま保険医新聞 2001.5.25号) シンキロウ首相の退陣で、「IT革命」も尻つぼみになるかと思いましたら、なんと、黒子だったはずの竹中平蔵さんが大臣に抜擢されました。いかにも「御用、御用!」と提灯をかざして走り出してきそうなお名前です。 この平蔵親分は「経済戦略会議」や「IT戦略本部」の主要メンバーであり、「IT革命」の名付け親とも言われています。ITで腹がふくれるのか? かつてモノから離れたカネが一人歩きしてバブルを招いたように、「情報」が一人歩きしてまたまたバブルにならないか? コンピュータなんて、たかが道具じゃないか。 ところで、平蔵親分は51年生まれ、新自由主義者(=市場主義者)のホープです。このことは新政府が新自由主義に向けて舵を切ったことを象徴しています。たかがITより、こっちのほうが重大事です。 彼らは「福祉」とか「社会保障」なんて古びた言葉はつかいません。かっこよく「セーフティネット」と言います。 それは、国民の権利・国家の義務から発想されたものではありません。市場の環境整備が第一。市場競争の土俵に上るに値しない雑魚や脱落者を、競争の邪魔をしないように隔離する収容所です。もうすこし穏やかに言うなら、一人勝ち競争社会の免罪符あるいは参加賞です。 おそらく生活保護を手直しする程度のレベルを構想していることでしょう。それ以上を望むなら、自己責任でどうぞ……。 彼らは市場の判断(要は勝ち負け)を神のお告げのように絶対視します。マーケット教による政教一致が現世浄土。ケンカの強いやつがエライ。「改革」の名のもとに大変な世の中になりそうです。 |
(とやま保険医新聞 4.25号) 書店のパソコン書コーナーにはおびただしい数の入門書が並んでいます。「誰でも分かる」「かならずわかる」なんてのはオトナシイほうで、「サルでもわかる」とか「ネコでもわかる」というタイトルのものまであります。雑誌の記事には「森首相でもわかる」というのもありました。 サルやネコよりも人を奮い立たせる不思議な首相が去りました。「IT」の掛け声は残りそうです。 「マーフィの法則」風に言えば、「入門書の数は挫折の数に比例する」とでもなるでしょうか。 御多分に洩れず、私の本棚にもパソコン関係の入門書が並んでいます。「サルでも」の系統は、理解できなかったときのショックが大きいので、おとなしいタイトルのものばかりですが…。 プログラミング関係の本やデータベース関係の本が多いのは、それらが手ごわく、今だに克服できていないことを物語っています。 ソフトを買うとマニュアルがついてきますが、これが恐ろしくわかりにくい。入門書の出版社とグルになっているのじゃないかと思うほどです。あるソフトを買ったら入門書が付録でついてきました。あっぱれ。しかし、それでもわからないものはわからない。 リンボウ先生こと林望氏は書誌学が専門の国文学者です。 そのリンボウ先生によれば、パソコン関係書籍の文章は「ひどい日本語」なのだそうです。そしてマニュアルや解説本を読まずに、「出来る人」の操作を傍から眺めることを推奨しています。 書を捨てて友に頼ろう! |
(とやま保険医新聞 3.25号) インターネットの世界では知らない人のいない「ヤフー(yahoo)」というサイトがあります。「サイト」はインターネット上の「場所」くらいに理解しておいてください。ヤフーをもじって「アホー(ahoo)」なんていうサイトを作っている人もいて、実に愉快なのですが、それは余談。 「ヤフー」は巨大な電話帳のような機能に加えて、誰でも書き込みができる「掲示板」の機能も持っています。地域別やジャンル別に数多くの掲示板があり、日々じつに多くの書き込みがあります。そんな中に特定の医療機関を名指しで非難する内容の書き込みが一時期続きました。 すべてがすべて荒唐無稽とは言いませんが、一方的な思い込みによる誹謗中傷ともとれるものが多く、少なくとも万人に開かれた掲示板に掲載すべき内容ではありません。しかし、もともと制約のないのがインターネットの特徴です。今後も、このような話題がインターネット上を飛び交うにちがいありません。 某大手電機メーカーが、インターネット上での告発にきりきり舞させられた事件がありました。それ以来、企業は自社製品に対するインターネット上の風評を重視しています。あちこちのサイトをサーチして風評をチェックする専門業者があり、繁盛しているそうです。 医療機関では個別にそこまで対策はとれません。何か手立てを考える必要がありそうです。 |
未就学児医療費助成制度 (とやま保険医新聞 3.25号) ワーよかった。助かります。……若いお母さんの喜びの声です。 来年度中に未就学児の医療費が全県下で入院・外来とも負担がなくなります。昨年、県下すべての町村部で未就学児の医療費負担がなくなりました。こんどは市部が追つき追い越して、すべて窓口無料の「現物給付」になる予定です。町村部では、いったん窓口支払をして役場で払い戻しを受ける「償還払い」が主流でしたが、射水郡につづいて入善町・井波町などが現物給付に踏み切る見込みです。ただし、居住する市町村外の医療機関に受診した場合には原則として「償還払い」になります。 このように拡大されたとはいうものの「現物」と「償還」の格差がありますし、広域化の面で課題が残っています。 この制度は県と市町村の合作です。 県が未就学児の入院医療費と3歳児までの外来医療費を助成し、市町村がそれに上乗せして対象を広げています。全国的にみても、所得制限や一部負担なしで全県下未就学児まで医療費を助成しているところはないと思います。秋田県が県レベルで未就学児までの入院・外来医療費を助成していますが、所得制限があります。変わったところでは山口県が歯科医療費に限って未就学児まで助成しています。香川県庵治町は小学校卒業まで、岐阜県笠松町、柳津町は義務教育期間まで助成しています。 この助成制度には国からの補助はありません。それどころか「ペナルティ」を課しています。厚生労働省によれば、窓口無料になっている乳幼児医療費の総額は全国で100億円(平成11年度)、それに対して6億円強の「国保療養費国庫負担金の減額調整」を行っています。 昨年5月、参議院「国民生活・経済に関する調査会」が、少子化対策として「国による乳幼児医療費の負担軽減」を提言しました。すこしさかのぼって、97年6月の国会付帯決議で、就学前児童の医療費負担を「少子化対策の観点および地方公共団体における単独事業の実情も踏まえ、その軽減を検討すること」としています。 国は、国会の提言・決議や地方の実績に背を向けています。どうにかならないものでしょうか。 (3月5日付、北日本新聞掲載のコラムに加筆)
少子化対策推進に関する決議 我が国は、急速な少子化の進行により、未だかつて経験したことのない少子高齢社会を迎えようとしている。こうした少子化の進行は、子どもの健全育成、地域社会、社会保障、労働力等において我が国社会に深刻な影響を与えることが懸念されている。子どもが未来の社会を担う存在であることを思えば、子どもを生み、育てることを社会的に支援していくことは、我が国にとって、極めて重要な課題である。 いうまでもなく結婚や出産は個人の自由な選択に委ねられるべきものである。今日の少子化は、個人の価値観の多様化や意識の変化に社会の仕組みが対応できていないことに大きく起因している。かかる社会の在り方を見直し、安心して子どもを生み育てることのできる社会の形成を目指し、総合的な施策を早急に確立することは、国会及び政府の責務である。 我々は、人口減少社会の到来を前にして、最善の努力をもって少子化問題に取り組み、男女とも育児に喜びや誇りを共有できる社会を構築していくことを決意する。 このため、政府においては、本院の意思を体し、仕事と育児の両立支援をはじめ子育てへの社会的支援の拡充、男女共同参画社会の実現に向けた取組を一層推進すべきである。 特に、乳幼児医療費の国庫助成等出産・育児にかかる経済的負担の軽減、小児医療・母子保健等医療体制の整備、労働時間の短縮や育児・介護休業制度の拡充等男女がともに仕事と子育てを両立できる雇用・職場環境の整備、保育所待機児童の早期解消をはじめ多様な保育サービスの拡充、放課後児童の受け入れ体制の整備等地域の子育て支援環境の整備、子育てしやすい住環境等生活環境の整備については、重点的に取り組むべきである。また、子育て支援の重要性に鑑み、子どもや家庭を支える施策に対して積極的な予算措置を講ずるべきである。 こうした取組が成果をあげるよう、国民各層の理解と協力をあわせて求めるものである。 右決議する。 |
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