いのちの山河

監督:大澤 豊   企画・製作:小室皓充



沢内村から学ぶ 「いのちの山河」新川上映実行委員会

小矢部の実行委員会、新川の試写会で紹介した関連資料の一部です。


映画「いのちの山河」は俳優さんが演じる劇映画です。しかし、描かれている内容は約50年前に実際にあった話です。

書籍


3冊の本を紹介します。左の2冊は、映画の原作とされている本です。
左端の「村長ありき」は昭和59年(1984)1月に新潮社から出版された深澤晟雄村長の伝記です。その後絶版になっていましたが、いまは「れんが書房新社」という出版社から復刊されています。
中央の「沢内村奮戦記」は昭和58年(1983)3月に、あけび書房から出版された本です。4人の著者が沢内村と深沢村長について語っています。そのうちの太田祖電さんは、映画の中では深沢村長を支える教育長です。のちに村長になっています。この方は浄土真宗大谷派(お東)のお坊さんでして、お寺の関係で、富山に何度も来ておられるそうです。
著者のひとり増田進さんは、沢内病院の加藤邦夫院長(映画では夏原遼=加藤剛の長男が演じている)の次の院長で、富山でも講演をしていただいたことがあります。
クリック コラム「日本の北欧」

右端の岩波新書「自分たちで生命を守った村」は昭和43年(1968)1月に出版された本です。私が大学に入って2年目でした。同じ時期に、「自分たちで命を守った村」という記録映画を観ました。白黒の映画でしたが、最後の雪上車が走る場面ではカラーになったかのように感じたものです。この本と映画に強く影響をうけました。

クリック 富山での試写会(2010.03)
クリック コラム「あの日あの頃」
沢内病院の歴史を西和賀町や旧沢内村の資料からまとめた資料 クリック 病院の歴史1 病院の歴史2


映画の中で、2人の保健婦が活躍していました。深沢村長の時代に保健婦は3人になり、その後4人、最大時には5人いました。人口5千人弱の村で、きわめて濃密な地域医療活動が行なわれていました。

沢内村の医療費

沢内村というと医療費無料化が強調されすぎるきらいがあります。地域ぐるみの医療・保健活動の成果がもっと注目されるべきだと思います。
上のグラフは沢内村の一人当たり医療費です。昭和30年代後半には岩手県平均の30%以上高い水準だったのが、昭和50年代には20%以上低い水準になっています。それにともない国保財政が黒字化しています。昭和50年代半ば(1980)ころの老人医療費は全国平均の半分以下になっていたとのことです。

平成17年に湯田町と合併して西和賀町になりました。
西和賀町の医療費助成:65歳以上で住民税非課税世帯の高齢者は自己負担なし。住民税納税世帯の高齢者は外来1500円、入院5000円(いずれも1ヶ月)を超えた分を助成。ただし歯科受診については75歳以上が対象。
小児については未就学児が医療費助成の対象となり、3歳未満と住民税非課税世帯は無料。3歳以上で住民税課税世帯は外来1500円、入院5000円を超える部分の助成となる。

子どもの医療費助成に関しては富山県が進んでいます。
クリック 子ども医療費助成(富山県内の市町村)

1957(昭和32)深沢晟雄、村長に
1960(昭和35)沢内村:65歳以上の老人医療費無料化
1961(昭和36)沢内村:対象を60歳以上に拡大
1961(昭和36)沢内村:乳児医療費無料化
1961(昭和36)国民皆保険
1962(昭和37)沢内村:新生児死亡ゼロ
1965(昭和40)深沢晟雄、死去
1967(昭和42)美濃部亮吉、東京都知事
1969(昭和44)東京都と秋田県が老人医療費の無料化
1973(昭和48)70歳以上の医療費無料化
1973(昭和48)田中内閣「福祉元年」
1982(昭和57)老人保健法
1983(昭和58)老人医療費の定額負担
1997(平成9)介護保険法
2002(平成14)老人医療費の定率負担(1割)順次70歳→75歳
2008(平成20)高齢者医療確保法(後期高齢者医療制度)

医療費をめぐる歴史を拾い出してみました。沢内村は国民皆保険の前に「老人医療費、乳児医療費無料化」を実施しています。
老人医療費無料化は全国に広がり、1973年には国の制度として70歳以上の医療費無料化が実現し、当時の田中内閣は「福祉元年」を宣言しました。
今になって振り返ると、「元年」ではなく「峠」でした。その後は負担増が続き、こんにちの「後期高齢者医療制度」に至っています。

クリック 医療保険給付率の変遷

介護保険がスタートしたとき、当時の厚生省は「介護保険の理念とこれを具体化した仕組みは、これからの社会保障の新たな方向性を示すものでもある」(厚生白書平成12年版)と誇らしげに述べています。
その「方向性」の先にあったのが「障害者自立支援法」であり「後期高齢者医療制度」でした。
すなわち、保険料徴収の厳格化(世帯でなく個人単位、年金からの天引き、滞納の罰則強化)、給付の制限(事前の審査、診療報酬の包括化など)、応益負担(障害者福祉にまで一部負担を課す)などが組み込まれました。
クリック 応益負担を課す「障害者自立阻害法」
クリック ちいさな旗をかかげよう
クリック 数字でウソをつくな!障害者の頻度は5%弱


いのちの山河
「いのちの山河」公式サイト(有限会社インディーズ)

西和賀町・沢内病院

西和賀町・深澤晟雄資料館



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