BYPASS12  
諌鼓の由来
 
機関紙誌等に発表した雑文を掲載しています。


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あけましておめでとうございます   2012.1.1



友 よ …

「核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会」会報
2012.01.13

 中学高校と一緒だった友人のなかで一番出来のいいやつが京大工学部の原子核工学科に進み、卒業したあとは、原発関係の仕事についた。ときどき私の下宿に不意打ちをかけて、飲み明かしたりした。
 私が郷里で開業したあとも、盆や正月に里帰りするたび夜の街へ呼び出す。ヒマをみつけては古寺をめぐり、なにやら資料を作っていた。原発を卒業したら古寺にどっぷり浸かるのが夢だと言う。
 文殊菩薩はお釈迦様になってしまった、核廃棄物を何万年もどうやって管理するつもりだ、などと時には問い詰めながらも、友は友だ。こいつのような優秀な人材を集めているのだから、日本の原発はスリーマイルやチェルノブイリみたいなバカなことにはならないだろう…と、少しは頼りにしていたものである。
 そんな友が、還暦を待たずに冥土へ旅立った。腎臓がんだった。川崎の斎場へ見送りに行き、駅のトイレで喪服に着替えたことを思い出す。あれから5年がたつ。
 フクシマは、ヒロシマの168倍もの放射性セシウムを撒き散らし、政府や専門家は的外れな気休めばかり唱える。日本の原子力技術や危機管理能力のみすぼらしさを世界に示した。ジャパン・アズ・ナンバー・ビリだ。
 おい、お前も専門家のはしくれだろう、どうなっているんだ…と、とっちめてやりたいが、それもかなわない。



NHKの番組について

「核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会」ML 2012.01.13 より

 『追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」』 2011.12.28放送

 昨年末放送された上記のNHKの番組に対して、不安を煽っている、という批判があります。
   (原発推進団体・原発関係者が風評被害をあおるとしてNHKに抗議文を送付しました)
 ECRRの過大な被害予測に対する反発もあるようで、トンデル氏の報告をECRRが利用したことからトンデル批判にまで飛び火しています。
 トンデル氏は今月末に来日する予定とのことです。どのような話をされるのかわかりませんが、論文を読むかぎりでは、決して不安を煽るような内容ではありません。
 トンデル氏らは、被ばくによる影響のうち、比較的潜伏期の短かい甲状腺がんや白血病をターゲットにして調査されたようです。それらについては増加はみられなかった。一方で、予想していなかった全がんの増加がみられた。従来の潜伏期の考え方では説明ができないものであり、「ガン発生プロセスの終わりでの促進効果」ではないかと考察しています。したがって数年後には、逆に、がん発症の低下を観察することになるかもしれない、とも述べています。
 また、被ばくの区分については、航空機によるガンマ線サーベイにもとづく地表のセシウム137 汚染状況によっています。被ばく線量を定量的に測定しているわけではありません。隔靴掻痒の感はありますが、そのような地域に居住することによって、外部被ばく&内部被ばくがともに上昇することは確かでしょう。

 NHKの報道には、いくつかの問題点があります。

■トナカイの肉の規制値について、日本より厳しい300ベクレル/kg だった、と報じていましたが、事故1年後には 1500Bq/kg に引き上げられたとのことです。原住民(サーメ人)はトナカイの肉をたくさん食べるそうです。食文化の違いが大きく、規制値だけでは比較が難しい。
■「0.2mSv/y」という低い線量で異常がでている、と報じていました。空間放射線による外部被ばく線量のことだろうと思います。線量率にすると約0.023μSv/hです。にわかには信じられない低い数値です。汚染の程度は地域による差が大きく、広大な範囲で平均値をとるのは不適当です。
■「事故の前と比べるとがんが34%増加した」と報じていました。トンデル氏の報告では1988年〜1996年のデータから100kBq あたり 0.11(11%)増という数字を導いています。実際には 60kBq未満地域の住民がほとんどを占めるので、全体としての増加はもっと低くなるはずです。「34%」は、リスクがなくても増加する歴史的因子を考慮していない可能性があります。

 いずれにしても、低線量被ばくでも発がんリスクへの影響があり、外部被ばくよりも内部被ばくの関与が疑われます。もうすこし、きっちりと取材し報道してほしかった。結論が自分の考えに近いからといって、論理の展開をおろそかにできません。揚げ足を取られて「大丈夫教」に利することにもなりかねません。
 メディアリテラシーの難しさを痛感します。

 現地の細かな状況については、スウェーデン在住の佐藤吉宗氏のレポートが参考になります。

<参考資料>

北スウェーデン地域でのガン発生率増加はチェルノブイリ事故が原因か?
マーチン・トンデル (リンショーピン大学病院、スウェーデン)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/tyt2004/tondel.pdf

Increase of regional total cancer incidence in north Sweden
due to the Chernobyl accident?
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1732641/pdf/v058p01011.pdf

チェルノブイリからの放射能汚染によりスウェーデンでガンが増えている?
京都大学原子炉実験所 今中哲二
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No104/CNIC0602.pdf

「スウェーデンの今」佐藤吉宗
http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/6c768f8d028351291a58069838c7d812

メーリングリストへの投稿を再録しました。



欧州放射線リスク委員会(ECRR)の推計について

「核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会」ML 2012.01.22 より

クリス・バズビー (ECRR 科学委員長)
「福島原発事故が今後健康にもたらす影響について」
に目を通してみました

核物質汚染による健康被害(がん発症)を3とおりの方法で予測しています。
(下記の数字は200km圏内=人口約1120万人を合計しました)

@ICRPモデル 50年間で癌発症は 6,158 件増加する
Aトンデル法 10年間に22万人以上が余分に癌を発症する
BECRRモデル 50年間に約41万7千人が余分に癌になる

それぞれを見ていきます。

@はICRP方式での推定であって、内部被曝は考慮されていません。年間の空間放射線量から、0.05/Sv のリスク係数(過剰絶対リスク)により推計しています。ICRP の係数は「致死リスク係数」であり、「発症」ではなく「死亡」とすべき数字だと思います。

Aがトンデルの係数を使った推計。地表汚染 100kBq/u につき 0.11 の過剰相対リスク。トンデルの論文では、もともと癌発症率の高い高齢者や都市部を除外しています。そのことは低線量被曝の影響の有無を判定するためで、不当なことではないと思います。ECRRの推計では、全人口を対象にしています。これでは多めに推計されてしまいます。そもそも、トンデル氏の係数をこのようなかたちで「トンデル法」と称して使用することが妥当なのかどうか疑問です。

    (後日、来日したトンデル博士は、質疑応答で「バズビー氏の意見について口出しする立場にはない」、としながらも、「スウェーデンの数字をそのまま日本に当てはめるには無理がある」と言っています)
BのECRRモデルでは内部被曝が外部被曝の3分の1とし、さらにその3分の1に「重み因子」300を乗じて「ECRR線量」に換算しています。この線量に 0.10/Sv のリスク係数(過剰絶対リスク)を乗じて、生涯発症リスクを推定しています。

@ABとも、空間線量率を2μSv/hとして年間被曝線量を計算または土壌汚染を推計しています。事故直後はともかく、いまは福島県でも一桁低い値になっています。域内全域にこの線量をあてはめたら、余りにも過大な数字が導かれるのではないでしょうか。

Aのトンデル氏の調査では、事故当時の2年間その地域に住んでいた人を対象にして、事故後10年となる1996年までの癌発生数を集計しています。住み続けた人が多いのではないかと想像されます。

@Bでは年間被曝線量からリスクを計算しています。なぜ単年で計算しているのか不明です。そこに何年も住み続けたら積算されると考えるべきでではないのか。セシウム134(半減期2年)の崩壊によって当初は急速に線量が減少すると考えられますが、セシウム137は半減期が30年であり、長期間にわたって影響が残ることは確かです。


低線量被曝を軽視してはいけない、内部被曝を重視しなければならない…といったECRRの主張には頷くところが多いのですが、数字の扱いには疑問を感じます。
ICRP と ECRR と、あまりにも両極端で、困惑します。


<参考資料>

福島原発事故が今後健康にもたらす影響について(非公式訳)
http://twitdoc.com/upload/climaticclimax/fukushima.pdf

ECRR リスクモデルと福島からの放射線
クリス・バスビー
欧州放射線リスク委員会 科学委員長
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/110319_ECRR_Risk_Model.html

<付記>
ICRPの基準は、慢性被曝のリスクを1/2に割り引いている。内部被ばくの特性を無視している。また、子どもの被ばくを考慮していない。こういう問題点を考えると、国際的な権威ある数値として無条件に受け入れることはとうていできません。
ECRRは、ICRPへのアンチテーゼとして、低線量被ばくと内部被ばくを重視する。被ばくによるリスクは、「チェルノブイリ・ハート」に見られるように、悪性腫瘍には限りません。しかし、いろいろな問題提起が、現段階では、きちんとまとまっているように思えません。不安を煽るのではなく、納得させることを最重点に情報を発信してくれることを切に願います。
あくまでも個人的な感想ですが、「被害予測」などというキワモノじみたことは、やってほしくなかった。
いずれにしても、数年後には、被ばくによる健康障害が現実のものになってくるでしょう。最大限の予防に努めるとともに、健康を害したときに医療保障、生活保障をきっちりとできるよう、社会保障の底上げをしていかなければなりません。


メーリングリストへの投稿を再録しました。


BSドキュメンタリー

「核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会」ML 2012.03.30 より

思い立って、録画しておいたNHK-BS放送のビデオを通覧しました。 今年に入ってから放送された原発関連のドキュメンタリー番組です。 パソコンで、1.2〜1.5倍速で再生して時間稼ぎ。 それぞれに重い内容のものです。 でも、あまりにいちどきに見たもので、頭の中がぐしゃぐしゃ・・・ こういう短期詰め込みはいけませんね。 BSドキュメンタリーはときどき再放送されるので、 機会があったら(ゆっくりと)ご覧になってみて下さい。 ネットに動画が掲載(非合法?)されているものもあります。

原発労働現場 異常なし?
フランスの原発。かつては正規労働者がほとんどだったのに、 いまは下請けまかせ。安全よりコスト。労働者は使い捨て。 いずこも同じのようだ。

永遠のチェルノブイリ
事故から25年たって、ウクライナでは記憶も石棺も風化している。 しかし、事故処理はまだ続いている。 新しい石棺が計画されているが、国家の財政を破綻させるくらいの 莫大な費用がかかる。

お隣さんに原発が!〜住民の選択
原発立地の話が持ち上がったカナダの農村。 賛成、反対の話を聞いて回るが、迷うばかり。

被曝の森はいま
事故の直後、チェルノブイリ周辺の木々は枯れて「赤い森」になり、 虫や獣たちも死に絶えた。 いま、低レベル被ばくの環境下で野ねずみは適応し、 ツバメたちは外部からやってきては障害を受けて死んでいく。

世界からみた福島原発事故
アメリカ、スイス、フランスなどに取材している。 「マークT」の弱点はすでに指摘されていたことであり、 スイス、ミューレンベルグ原発ではそれら弱点を補強する 対策が細かく取られていた。が、スイスは脱原発に舵をきった。

イエローケーキ〜ウラン採掘の現場から
精錬されたウラン鉱石をイエローケーキと呼ぶ。 旧東ドイツ時代のウラン鉱山跡地は途方もない環境汚染を残した。 鉱山周辺には膨大な「鉱滓」のボタ山や大きな沼が形成される。 いずれも放射能を有する。 労働者や近隣住民の健康被害は隠蔽されている。

地下深く 永遠に〜10万年後の安全〜
フィンランドで世界初の最終処分場「オンカロ」が建設されている。 関係者は未来の人間にどうやってメッセージを伝えるか悩む。 奇妙な建造物を見つけたら、好奇心から掘り返すかもしれない。 言語は通じないかもしれない、イラストではどうか、などなど。

ドキュメンタリードラマ チェルノブイリの真相
チェルノブイリ事故の収拾のために奮闘し成果をあげながら 上層部と衝突し、悩みつつ2年後に自殺した 旧ソ連の科学者レガソフをドラマとして描いている。 使命感、正義感はやすやすと踏みにじられる。切ない。


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    「記憶の半減期」なる言葉があるそうです。
    ( die Halbwertzeit der Erinnerung )
    セシウム137の半減期よりだいぶ短かいかも。
    権力の側は、そんな私たちの頭の足元(?)を見ている。
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メーリングリストへの投稿を再録しました。


エネルギー・環境政策に関する意見聴取会

「核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会」ML 2012.07.18 より

「エネルギー・環境政策に関する意見聴取会」(政府が主催、博報堂に委託)が話題になっています。名古屋で行われた聴取会での中電社員の発言を聞いてあきれました。
「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない。今後5年10年たっても同じ」とのこと。「原子力ムラ」内部でそんな議論があることを聞いてはいましたが、自信満々に公開の場でしゃべるとは、なんともはや・・・・・
これは、あくまでも高線量の急性被爆に限った話であり、今後出てくるであろう低線量慢性被爆による被害は考慮されていません。ましてや原発事故のために災害救助ができずに亡くなった人々、過酷な避難行動の中で死亡した人々、原発事故を憎みながら自ら命を絶った人々、これら「原発事故関連死」はまったく眼中にないようです。
直接的に因果関係が明白な場合を除き、電力会社に責任はなく、補償の対象にならない、という空気を正直にあらわしているようにも思えます。今後は電力会社関係者を除外するとのことですが、このような「率直」な意見が表面に出てくることがなくなるのは、ちょっぴり残念な気もします。

「エネルギー・環境政策に関する意見聴取会」の公式サイトに動画が掲載されています。
中部電力社員の発言をチェックしてみました。放射能による死者はいない、という話に続けて‥‥ 過剰な避難、過剰な規制、根拠のない風評被害による経済的な負担、健康障害のほとんどはそのストレスからきている。これは原発事故のせいではない。 …と述べています。チェルノブイリ事故に対するIAEAなどの「公式見解」ひきうつしです。要は「避難しなければ被害はなかった」というトンデモ見解です。
吉田先生たちの「原発の危険から子どもを守る北陸医師の会」のブログに、 「真実はどこに?―WHOとIAEA 放射能汚染を巡って」という動画が紹介されています。
ロシアの「専門家」が権威をかさにあらゆる反論を力任せに押さえ込む様子が記録されています。事故現場で大量被爆した作業員と甲状腺がんにかかった子ども、被ばくによる被害はこれだけだ、と言い切っています。


メーリングリストへの投稿を再録しました。



なくそう原発 8.18集会



猛暑のなか、富山市の古城公園で集会とデモが行われた。
集会の開会に先立って、太鼓の演奏が披露された。

太鼓の演奏

集会で発言するように求められた。人前でしゃべるのは大の苦手なのだけれども、ひき受けることにした。以下はメモ。そのとおりに話せたかどうか疑わしいけど、収録しておく。


     指名されました小熊です。魚津から来ました。本業は歯科医です。「核兵器廃絶を目指す富山医師医学者の会」通称「反核医師の会」の世話人をしています。この会は1989年に設立され、四半世紀がたとうとしています。ずっと「核兵器」には反対するものの、原発については、何も言わずにきました。しかし、福島の事故を受け、国民の命と健康を守る立場から、反原発の意思表示をしました。
     原爆はよくないけれど、平和利用の原発はいいじゃないか、危ないとは言うけど、日本の技術はしっかりしてるから大丈夫だ、と丸め込まれてきました。今思えば歯がゆいばかりです。
     福島県浪江町(なみえまち)の町長(馬場有・ばばたもつ)さんが広島の原水爆禁止世界大会で「われわれの生活を破壊した原発は原爆だ」と言われました。まさにそのとおりです。
     医師も歯科医師も、大学で「放射線学」が必修となっています。けれども、あまりメジャーな科目ではないので、熱心に勉強した記憶がなく、あらかた忘れてしまいました。心を入れ替えて、勉強しなおして、皆さんのお役に立てるようになりたいと思っています。
     ふたつばかりお願いがあります。
     ひとつめ。今日は、原発をなくそう、と主張する人が集まっています。細かいことを言い出せば、違いはあるかもしれませんが、できるかぎり広く輪をひろげて、手を取り合って運動を繰り広げていきましょう。
     もうひとつ。放射性物質には「半減期」があります。ヨウ素131は約8日、セシウム134は2年、セシウム137は30年です。人間の記憶にも半減期があると言う人がいます。どうやらセシウム134並みといったところでしょうか。でも、放射能に負けずに、記憶にとどめ、粘り強く運動を続けていきましょう。
     広く、そして、長く、このふたつを強調して私の発言を終わります。



参加者は約750人。保守的な地方としては珍しく「大規模な」集会とデモ、と報道された。

dara-bon 氏提供 2012.08.18

15年ほど前に新宿駅西口で、はじめて街宣車に乗った。それ以来、人生2度目の街宣車だった。


チェルノブイリ・テーゼ

「核兵器廃絶をめざす富山医師・医学者の会」ML 2012.10.08 より

 最近、「チェルノブイリ・テーゼ」という言葉に接しました。原発推進あるいは原発擁護の論客たちの考え方を特徴づける用語と思われます。
 いろいろと考えさせられました。テーゼの内容について具体的な記述は見当たりませんが、 IAEAやUNSCEAR,ICRP,ロシア政府などの「公式見解」のことを指しているものと思います。さらには、それに付随した論法もテーゼに含まれると考えたほうがいいかもしれません。
 すなわち…
 症例報告のたぐいは、いくら症例数が多くとも門前払い。疫学的研究が不可欠です。ただし・・・
 疫学的に被曝と発症のあいだに相関がみられても、それだけでは不十分で、放射線被曝と発症とのあいだに一義的な病理学的因果関係が認められないかぎり「科学的証明」とはみなしません。さらにはIAEAやUNSCEARなどの 国際機関の認めたものだけが「科学的事実」とされ、それ以外は無視されるか、「非科学的」のレッテルが貼られます。 また、「国際機関が認めない」ものは「ない」ものと同義とみなされます。
 チェルノブイリ事故のあと見られた、多種多様な疾病の多発や短命化などなど については、「科学的」に立証されたものではなく、したがって放射線が原因ではな い。厳しすぎる避難基準を適用したために生じたストレスが原因である、として います。
 「国際的合意を優先する」ことを議論の出発点かつ終点にする傾向が、さまざ まな分野で見られます。今後さらに深く静かに広がっていくことが予想されます。 ご用心あれ。

 ともあれ、テーゼの内容を整理しておきます。
 中川恵一氏が著書の中で「チェルノブイリの真実」と題する1章をあて、公式見解を並べています。これがよくまとまっている、というか、そもそも、この書物の中身はそれしかない。

■高線量被曝した作業者134人のうち急性障害で死亡したのは28人
■高線量被曝の作業者のうち22人が25年以内に死亡したが放射線被ばくとの関係は認められない
■一般人に生じた健康障害は甲状腺がんだけである
■甲状腺がん約6000例の手術症例のうち死亡は15人だけ(2011時点)
■セシウムによる発がんは認められていない
■低線量被ばくによる健康被害は認められない
■汚染区域の指定が厳格(37kBq/u)すぎたため、大規模な避難がストレスとなって
  様々な健康障害を引き起こした
■事故の放射線被曝による死亡は4000人と推定(IAEA)
  ただし対象集団は避難対象地域の60万人に限定。


メーリングリストへの投稿を再録しました。


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