数字でウソをつくな!(その20) 01年12月2日、某与党幹部がNHKの番組の中で「日本の医療費は米国に次いで世界2位で圧倒的に高い」と述べ、医療費総額規制の必要性を強調した。 最初は何のことかわからなかった。OECDの直近データから「20位」を早とちりして「2位」と言ってしまったのかと思った。よくよく考えてみると、国民医療費の総額をドル換算して、実額で「世界第2位」ということを言いたかったらしい。 こんな無茶苦茶な数字の使い方も珍しい。軍事費や貿易収支なら国を単位に比較するのが妥当だろうが、国民のひとりひとりに対して支出される医療費を国家単位で比較して何になるのだろうか。とはいえ、医薬品メーカーなどは、マーケットの大きさを知る必要から、このような比較データを使用している。某幹部氏が、国民の医療という視点ではなく、医療市場という視点からモノを考えていることの証左であろうか。 人口によって、医療費の総額が左右されることは自明のことであるし、その国の生活水準によって異なってくることも自明のことだろう。一日がかりで馬車にゆられて医者にかかる国もあるだろうし、自家用車で病院に通院する国もある。アフガンでは10人家族が2000円で1ヶ月生活できるという(http://www1m.mesh.ne.jp/~peshawar/)が、日本では1人1日の食費がまかなえるかどうかさえ怪しい。 一人当り医療費をドル換算して比較することも行われているが、為替レートとその変動のほうが大きく現われる。それゆえに医療費の国際比較をするには対GDP比を用いるのが一般的だ。(⇒数字でウソつくな1) こんな当然のことを理解できていない人が政党の幹部とは・・・・ 日本の政治家は世界第何位なのだろう? |