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山根一彦・三好祐(絵)『認知症にならない最高の習慣』新潮社
デール・ブレデセン博士が開発した「リコード法」というアルツハイマー病の治療法を紹介するのがテーマ。「マンガでわかる」とサブタイトルがついていて、著者のひとりが絵を担当している。 ReCODE = Reversal of Cognitive Decline
▼アルツハイマー病は認知症の70%を占め、約20年で18倍になっている。
アミロイドβを除去する薬(レカネマブ、ドナネマブ)が認可されたが、アミロイドβを除去してもアルツハイマー病は改善しない。
アミロイドβは「脳の正常な防御反応によるもの」であり、
「脳に侵入する有害な病原体や物質と戦ってっくれる反面、健康な脳細胞にもダメージを与えてしまう」
▼アミロイドβを作り出す原因を減らすことで認知症を改善できる、という考え方がリコード法の基本。 @炎症 A栄養不足 B毒物暴露 〜
そのための対策として、食事、運動、睡眠。それぞれについて細かく記述されている。
(2025.01)

山根一彦『認知症を防ぐ最高の食べ方』KADOKAWA
同じ著者の本を続けて手に取った。リコード法のなかから「食事」をとりあげている。
▼第1章はリコード法の復習。血糖値が上がる食べ物は認知症のリスクを上げる。歯周病菌が原因でアミロイドβが増えるという研究報告もある。
▼第2章はNG食品。白米や小麦、牛乳なども挙げられている。第3章はOK食品。「水」が筆頭に挙げてある。第4章は食べ方。腹八分目、野菜たっぷり、よく噛む。そのほかに食べる順序は洋風のコース料理を参考にするといいらしい。
▼巻末に「脳がよみがえる食材リスト」という表が掲載されている。NG食材の表はない。 (2025.02)
森永卓郎『身辺整理 死ぬまでにやること』興陽館
今年1月28日に亡くなった著者が、終末期のガンを宣告されてから取り組んだ身辺整理がテーマ。アマゾンになくて、市内の書店へ行ったら1冊だけ在庫があった。
▼2023年12月、膵臓がんステージWと宣告された。のちに「原発不明がんの終末期」と診断された。「死」を意識して生きることは極めて前向きなことなのだ…とのこと。
▼ミニカー、フィギュア、名刺、空き缶、などの膨大なコレクション。私設博物館「B宝館」を次男がひきつぐことになった。
▼「一匹オオカミで生きる」が信条。「親友なんてものは絶対に作ってはいけない」、「仲間」を作ると巻き込み、巻き込まれる。仲間を作ると、同時に仲間外れを作る。
▼「あとがき/遺言」の中で、マルクスの言葉として「資本主義の限界」を示す
1、許容できないほどの格差社会になる/
2、地球環境が破壊される/
3、少子化が止まらなくなる/
4、ブルシット・ジョブ、つまりクソどうでもいい仕事ばかりになって、人々が仕事に生き甲斐を見出せなくなる (2025.02)

長谷川和夫・猪熊律子『ボクはやっと認知症のことがわかった』KADOKAWA
著者・長谷川は「長谷川式スケール」で知られる専門家。当のご本人が認知症になり、思いを伝える本。もう一人の猪熊はこの本の作成に協力した読売新聞編集委員。
▼「まえがき」に、転んで顔に青あざをつくったり、テレビショッピングで要らないものを注文したり〜と書いている。誰かとそっくりだ。
▼行ったことがある場所に行き着かない、今日が何月何日で何曜日かわからない、予定を忘れる、鍵をかけたかどうかなど「確かさ」が薄らぐ‥‥などから、認知症と自覚したとのこと。くよくよしているよりは、いまできることをやろうと決めた。認知症であることを公表し、語ることを始めた。
▼その日によって、また時間帯によて、症状は変動する。
同時にいくつものことを理解するのが苦手。
すべての役割を奪わない。得意なことをやらせ、褒める。など、
パーソン・センタード・ケア(person-centered-care)を推奨。認知症をもつ人を一人の「人」として尊重し、その人の立場に立って考える。
▼「決してやってはいけないことがあります。それはクルマの運転です」と、運転を否定している。本人はもともと車が好きで、高級な車を乗り回していたらしい。たしかに、本人だけでなく周りにも危険性が高まる。
▼最後に猪熊律子の「解説」があり、取材中に出会った長谷川の言葉をいくつか紹介している。・「認知症になったからといって、人が急に変わるわけではない」
・「認知症でない人だって間違うよね」
・「認知症の本質は、暮らしの障害なんだよ」
・「認知症の人の言葉をよく聴いてほしい。聴くということは待つということ。待つということは、その人に時間を差し上げること」
▼本の出版は2019年12月、長谷川氏は元聖マリアンナ医科大学学長、理事長。長谷川式スケールは1974年発表。1921年11月、92歳で死去。
(2025.03)

長谷川嘉哉『ボケ日和』かんき出版
著者は10代のころに祖父の認知症を体験し、それが認知症専門医になるきっかけだったという。「ボケたじいちゃんが、私に白衣を着せてくれた」。
春夏秋冬と章分けして、認知症の進行度にあわせて解説している。
▼第1章「春」。「ちょっと変」がMCI(早期認知障害)のはじまりとして、物忘れ、待てない、怒りっぽい、運転が下手に、詐欺に引っかかる、などを挙げている。5年以内に約5割が認知症に進行する。
▼第2章「夏」。薬の管理ができなくなる、服を着るのが難しくなる(着衣失行)、
探し物頻発、料理ができない、新しい家電が使えない、見当識障害など。
▼第3章「秋」。暴言・妄想・徘徊・幻覚などのはげしい周辺症状。「モノ盗られ妄想」は信頼している人に向けられるので「介護の勲章」だと・・・
▼第4章「冬」。末期となると、むしろ落ち着いて、一日中ぼんやりするようになる。「もう家では看られない」となるのが、トイレの失敗がでてくるタイミングだとのこと。また、施設住所となったとき、若いころの写真を飾ることを勧めている。口から食事を摂れなくなったら寿命と悟るべき。無理な延命治療は無意味。
(2025.04)


ダイモンジソウ(大文字草)